甲子園の詩

怪物と言われた江川 卓(現野球解説者)投手の回想録から・・・
彼が野球人生の中で一番の思いでに残る試合は、夏の甲子園での銚子商業との負け試合だそうです。
同点で迎えた12回の裏,ワンアウト満塁、カウント、ツウスリー、投げるピッチャーは、大会屈指の右腕、作新学院のエース江川。
その時ナイン全員がマウンド上に集まります。そのとき江川投手は、ナインから「絶対フォアボールだけは出すなよ」と言われると思ったそうです。
ところがナインは「ここまで来られたのは、おまえのお陰だ、フォアボール出してもいい、最後の一球、おまえの好きな球を投げろ」と励ましてくれたそうです
江川投手は、気を取り直し渾身の力を込めてその一球を投じました。結果はボール、押し出しのフォアボール、さよなら負けです。
江川投手はそのときのことを回想録で、「とても清々(すがすが)しかった」と回想しています。
また高校球児の夏の甲子園が始まります。勝つもの、そして負けるもの、ひきこもごものドラマが展開します。
自分のタイムリーエラーで負けたとしても、自分がチャンスに打てなくて負けたとしても,自分がスクイズを失敗したばかりに負けたとしても、自分の走塁ミスで負けたとしても、自分の押し出しのフォアボールで負けたとしても、江川投手のように「清々しく」、かつ「堂々」とグラウンドを後にして欲しいと願います。負い目を負うことなく,引きずることなく・・
だって君が居たからこそ、ここまで来れたのだから・・・。